実は日本の殺処分数は世界的にみても多い
日本は猫や犬の殺処分が多い国だということをご存知でしょうか?
保健所や動物愛護センターで殺処分される猫や犬の数は、日本では年間、平成26年度時点で101,338頭(猫79,745頭・犬21,593頭、環境省の統計資料より)となっています。
これは世界と比較してもかなり多い方です。
でも、殺処分数はこの10年で3分の1以下に減った
過去(平成16年度は猫・犬の合計394,799頭)と比べれば減少傾向ですが、ドイツの猫・犬殺処分数は0に近い値、イギリスにおいては殺処分数およそ7000頭と比較しても目に余ります。
アメリカでは日本よりも多くの頭数(約300万頭 2010年時点)が殺処分されていますが、保健所に入ってから里親が見つかる確率は半分以上です。
日本では「保護」という名の捕獲がなされると、新たな飼い主が見つかる確率はわずか1割以下です。
☆海外の殺処分事情は?
イギリスの場合
保護施設に収容された猫や犬たちを、まず病気があるかどうか、性格があまりにも凶暴かどうか、引き取り手が見つかったかどうかで選り分け、本当にやむを得ないものだけを「安楽死」させます。静脈に多量の麻酔薬を注射して、安らかに息を引き取ってもらうのです。
ドイツの場合
「殺処分」という制度は存在せず、動物保護施設に収容されます。
その施設は、いわゆる「コンクリートと鉄格子」によってできているのではなく、庭が備え付けられた個室に運動ができるほどの広場が設けられ、床暖房設備によって冬場の厳しい寒さを乗り越えられるようにしています。
すべての猫や犬の里親が見つかるまで待ち続け、病気や怪我をしていても治療の継続によって生き延びることが可能なら、それを条件に里親が募集されます。
仲介成功率は9割を超え、残り1割のほとんどが施設で寿命がくるのを待ちます。
その1割の中で、やむを得ない理由、正当な理由がある場合のみ、「安楽死」されることになるのです。
アメリカの場合
年間およそ300万頭が殺処分(2010年)されているといいました。
これについての大きな要因として、繁殖業者であるブリーダーなどの存在が、あたかも「物」を生産するように猫や犬などの動物たちを繁殖させていることがあげられます。
殺処分についての方法は、アメリカでは「州」ごとに異なり、法律も動物に対する扱いも、州ごとによってかなりのバラツキがあります。
動物用の公営シェルターが完備され、里親がいない場合に民営シェルターなど民間団体に引き取られるといった、行政と民間がタイアップする仕組みのある州・都市があります。
そこでは可能な限り猫や犬たちの引き取り手を探しますが、頭数が多いためそれでも追いつかず、どうしても現れない場合に限り、点滴や注射によって「安楽死」させるという方法で殺処分しています。
これを知るとあたかも「アメリカ全土の州」が安楽死をやっているようなイメージになりますが、実は「ガス」によって苦しめながら処理するといった方法を採っている州もあるのです。
日本の殺処分事情
海外から「猫や犬のアウシュビッツ」と呼ばれている現状が、残念ながら存在します。
それは「炭酸ガス」による窒息死です。
窒息ですから、苦しいことはいうまでもありません。
上記で紹介したように、海外では「安楽死」が一般的ですが、日本ではガスが使われています。
また、「やむを得ない場合に限る」という条件が付くのが一般的ですが、日本の場合は健康体であっても里親が見つからなければ殺処分されます。
殺処分するために使う設備には「ドリームボックス」という名称が付けられ、名前からくるイメージと実態があまりにもかけ離れているので、誤解を生じかねません。
日本がこのような状況になっているのは、
- この状況を知らない人が多い
- 「殺処分」が当たり前という意識
- 「飼えなくなったから」と捨ててしまう飼い主が多い
などが原因です。
殺処分を減らすためにできること
「捨てない」こと
まずは何よりも、「捨てない」ことが一番大事です。
子どもが生まれて飼えないような状態になるのなら、避妊手術や去勢手術をしっかりしましょう。
そして、猫を飼いたいと思ったら、保護施設に収容されている猫から飼うようにしましょう。
一人一人がそういう意識を持つことで、不幸な猫たちを少しでも減らすことが可能です。
そして、ガスによる殺処分を「安楽死」へと変える取り組み、ドイツのように「殺処分」自体を可能な限りさせない取り組み(署名や住民運動など)なども有効でしょう。
猫(犬も)を飼ったら家族の一員とし最期まで面倒を見て、飼い主が亡くなるなどした場合に預かってもらうところを確保して、“家族”が不幸な目に遭わないようにしましょう。
TNR運動を知る
TNR運動というものがあります。
野良猫の群れの中から対象を選び出し、不妊や去勢手術を施すことで、「殺処分」される運命を背負って生まれてくる猫を減らす取り組みです。
生物としての機能(種族保存)を奪うことがどうなのかという批判はありますが、多くの「生まれて間もない子」が殺処分されている現状を考えるとき、この取り組みはひとまず有効です。
TNR運動とは、トラップ、ニューター、リターン(リリース)の意味で、猫を傷付けない捕獲機を使い、施術し、もと生活地域へ戻す、市民団体が主体の取り組みのことです。
その際は、野良猫の耳のほんの一部を痛くないように「カット」します。
手術を受けて、人間と共生関係にある「地域猫」になった目印です。
これ以外の方法としては、日本国内にあり野良猫たちが占拠する「猫島」に連れて行き、「自然」のままに生きさせるという手段もあります。
保護猫を引き受ける
動物保護センター、動物保護団体、保護猫カフェを探してみましょう。
また里親探しのサイトなんかもありそういったところでわからないことは調べてみるのもいいかもしれません。
殺処分をゼロにした自治体も増えてきている
最後に、殺処分ゼロを達成した自治体を紹介します。
神奈川県動物愛護センターでは、2013年から3年連続で猫も犬も殺処分ゼロを達成しています。
正当な理由なく、ペットの引き取りをセンター側が拒否できるようになったこと、TNR活動の推進により、野良猫を捕獲し不妊手術をして、元の生活エリアへ帰してあげるようにしたこと、専門のボランティア団体・個人の協力を募り、里親探しを効率的に精力的にできるようになったことなどが要因です。
関わる人すべての努力の賜物です。
この他に、北海道札幌市・熊本県熊本市は犬のみ、広島県広島市は猫も犬も両方とも殺処分ゼロを達成しています。
まとめ
自分は知っていても、他人はそうではありません。
身近な人にこういった内容を一言でも伝えてあげることも殺処分を減らすことに必ず繋がります。
動物相手にも優しく正しく生きたいですね。
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海外殺処分ゼロというデマの拡散は、どうしても無くなりませんね。
特にドイツで野良猫は狩猟対象で、民間による駆除は日本の数倍にのぼります。
TNRについては、アメリカの過激な愛護団体、PETAですら非推奨と言うほど効果がありません。
海外はすばらしい、日本は動物愛護後進国みたいな歪曲したレトリックはおしまいにしませんか?
みんながこの問題について自分のこととして考えれるようになるといいですね