症例別 猫がなりやすい病気まとめ

エリザベス・カラー

photo by Anders Knudsen

大切な愛猫が、なんだか具合が悪そう…。
猫は自分で不調を訴えることができないので、人間が普段からよく様子をチェックし、気づいてあげることが大切です。

では、猫がなりやすい病気にはどんなものがあるのでしょうか。

 

感染症の病気

猫風邪

最もポピュラーな病気で、鼻水や呼吸が苦しそうなど、人間の風邪に似ています。子猫の頃、特に野良出身の猫がかかりやすいです。
特効薬がないため、年に1度のワクチンで予防することが必要です。
感染してしまった場合は、他の猫とは隔離して過ごさせるようにしましょう。

猫エイズ

猫エイズは、FIV(猫免疫不全ウイルス)に感染し発症します。FIVを体内にもちながら(キャリアと言います)、発症せずに一生を終える場合もあります。

母子感染があり、野良猫を拾ったら猫エイズだった、というのはよく聞く話です。また交尾や、猫同士の喧嘩などでも感染します。検査は病院で簡単に受けることができますよ。

猫エイズにも特効薬はなく、下痢や外耳炎など現れた症状に対しての治療が主となっていきます。

猫白血病

猫白血病は、FeLV(猫白血病ウイルス)に感染し発症します。感染すると、およそ一ヶ月かけて全身に広がっていき、食欲不振や発熱などの症状が現れます。
猫の免疫力に左右される病気であり、子猫のうちに感染すると致死率はほぼ100%ですが、生後4ヶ月を超えれば90%は治ると言われています。
感染経路は主に母猫が子猫を舐めたり、食器を共有することで移ります。
こちらの病気にも特効薬はないので、現れた症状に対しての治療が主となっていきます。

 

泌尿器系の病気

尿石症

尿道や膀胱の中に結石ができる病気です。猫はもともと水をあまり飲まず、おしっこも濃い生き物。そのため尿のPHバランスが崩れやすく、この病気になりやすいです。とくに尿道が細長くカーブしている部分があるため、オスに多いと言われています。

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症状は頻繁にトイレに行くのにおしっこが出ない、おしっこの際に痛くて鳴く、血尿が出るなどです。
軽度の場合は、結石を溶かす薬を服用したり、療法食を使います。大きな石になっていた場合は手術が必要なこともあります。
ふだんから水を多めに飲ませることが、有効な予防法となります。

膀胱炎

膀胱炎は、膀胱内に細菌が入り込んで炎症を起こす病気です。また、ストレスでもなると言われています。
とくに年齢の若い猫に多く、一度かかると慢性的に繰り返す場合が多いです。ぐったりして元気ががなかったり、ふだんよりも水をよく飲んでいる場合は要注意。また尿の色が濃くなったり、濁ったりもします。
治療法としては、細菌を特定して抗生物質を飲ませます。放置して悪化すると、腎盂腎炎という病気を引き起こす可能性もありますので注意しましょう。

慢性腎不全

慢性腎不全の原因は、ウイルス感染や先天性異常などがあり、高齢の猫に多いです。腎臓の機能が徐々に弱り、うまく働かなくなる病気です。
まず現れる症状は多飲多尿(よく飲みよくおしっこをする)です。その後食欲不振や体重減少などが見られます。
進行してくると、貧血症状や眼の異常が現れることもあります。
治療は進行を抑えて症状を緩和することを目的として行われます。薬の投与と療法食の服用などです。

呼吸器系の病気

肺炎、気管支炎

猫にも肺炎があります。咳をしたり呼吸が苦しそうな様子で、運動を嫌がる場合もあります。主な原因は感染症や細菌などです。また高齢の場合は誤嚥(ごえん)によって気管を通ってしまい、肺に炎症を起こすこともあります。
肺への負担を減らして安静にすることや、酸素吸引などの治療法があります。また肺炎を引き起こした原因となる、根本の病気がある場合、そちらを治療することが先決となります。

内分泌の病気

糖尿病

インスリンが上手く機能しなくなり、血液中の糖分が増えてしまうことでなる糖尿病。水を大量に飲んだり、食欲が増した場合には疑ってみましょう。
ふだんから早食いや大食いが習慣になっていると、インスリンが大量に分泌されて、機能がどんどん鈍くなっていきます。次第に血液中の糖度が高いまま維持されるようになってしまうのです。

また10歳以上の猫に多いのは、加齢によって基礎代謝が低くなったのに、今までと同じ量の食事を続けて食べ過ぎになるからだとも言われます。
治療としては、基本的に毎日インスリン注射を打つこととなります。また血糖値を常にバランスよく保つため、食事療法が重要になります。

 

消化器系の病気

胃腸炎

人間と同じく胃に炎症ができる病気で、急性と慢性の2種類があります。突然嘔吐・下痢を繰り返したら急性胃腸炎を疑いましょう。あまりに嘔吐が続くと脱水症状を誘発しますので注意してください。
また急性胃腸炎の症状が1週間以上続くと、慢性胃腸炎が疑われます。急性のときほどの激しい症状がないかわりに、だらだらと長く症状が続くのが特徴です。
原因は誤飲、誤食が多く、寄生虫が原因の場合もあります。
脱水症状が疑われる場合には、まず点滴が使われます。それからは投薬治療が主となります。衰弱具合によっては、流動食なども検討します。

 

皮膚の病気

疥癬(かいせん)

特に野良猫にはよく見られる病気で、ダニが最初に耳につきます。それから上部へとい広がり顔、首へと症状が進んでいきます。フケ、かゆみ、かさぶたなどになります。
疥癬に感染した猫や犬と接触することでかかるので、動物病院や保護施設では注意が必要です。
投薬治療のほか、薬剤を入れたお湯に浸かってダニを殺す方法もあります。
予防法としては、ふだんからまめに掃除をすることが重要です。

 

顔まわりの病気

歯周病

歯周病は歯垢、歯石、歯槽膿漏などの症状の総称です。人間と同じですね。
細菌が増える原因が口内にある状態が続くと、歯肉炎や歯槽膿漏などに症状が進行していきます。具体的には口臭や歯ぐきの赤み、歯がぐらぐらしたり抜けたりするなどです。口内に傷ができたり、細菌が原因で起こります。また高齢の猫に多く、免疫力が低下することで進行します。
治療法としては毎日の歯磨きが重要になります。また、ふだんやわらかいウエットフードばかり与えている場合は、ドライフードに切り替えて噛む回数を増やすことも効果があります。歯石がひどい場合は麻酔をして病院で取ってもらうこともできます。

猫にもさまざまな病気がある

いかがでしたか?猫風邪や糖尿病、歯周病など、人間がかかりやすい病気は猫も同じなんですね。ふだんから愛猫の様子をチェックし、共に健康な毎日を送れるようにしましょう!

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