飼い猫には「老後」がある
厳しい自然環境の中で生きている野生の猫には老後などなく、短い寿命を終えることになりますが、愛情も栄養も満たされた飼い猫の場合、一般的な人間と同じく「老後」というものがあります。
猫の年齢の数え方は生後1歳を人の18歳として数え、2歳以降は4歳ずつ年を取っていく計算となります。
平均寿命は15年ほど、人間の年齢に換算すれば76歳くらいになり、身体のあちこちに衰えが目立ち始めます。
食べるものも変化しますので、人間と同じように老境に入った猫には注意を要します。
老境に入り、性格や動きが変化する
人間と同様、高齢に達した猫は動きが鈍くなり、一日のほとんどを眠って過ごすことになります。
身体の筋肉は衰え、俊敏な動きがあまりできなくなります。
昔のように飼い主と一緒に遊ぶことや外出するということが少なくなり、冥想にふける時間が長くなります。
その姿はまるで猫神様、猫仙人といってもいいかも知れません。
人間の老人の姿とも重なりますね。
ひなたで読書する老人と冥想にふける猫。実に文学的・哲学的な組み合わせです。そんな老猫を優しく見守ってあげましょう。
食事に気をつけよう
老境に入ると、段々と感覚が鈍くなってきます。外界からの刺激に対する反応が鈍重になり、周囲の状況を的確に把握することが下手になります。
あごの力が弱くなり、味覚は感じにくくなりますので、食事に気を配ってあげなければなりません。
今までドライフードのような硬い物をあげていたのなら、それを改め、咀嚼しやすい柔らかい物に変えてあげましょう。
そうすることで栄養をきちんと摂取でき、老年の健康を支えてくれます。
また、柔らかい物のうち、汁気を多く含んだ食べ物なら、栄養と同時に水分の摂取も同時にできます。
キャットフードは高齢猫専用のものを選び、消化吸収に支障が生じないようにしてあげましょう。
トイレの清掃と、うんちの様子で病気のチェックをしよう
人間でも高齢になると、「頻尿」になるといわれます。
特に高齢者の夜間頻尿はよく聞く話。それは膀胱の筋肉が衰えて伸びが小さくなるため、膀胱内に溜めることが可能な尿の量が減るのです。
高齢猫にも同じことがいえます。筋肉量の減少だけではなく、腎臓の活動も低下し、水分の摂取量が増加するので、トイレに行く回数はどうしても増えてしまいます。
だからトイレの手入れは十分に行い、砂の取り換えだけではなくトイレ容器の清掃回数も増やしましょう。
猫は綺麗好きです。汚れたトイレで用を足したくありません(人間も同じ)。
トイレが汚れると、トイレ以外のところで用を足し始めるので、そうならないために清潔を保ちましょう。
また、老いた猫はうんちを排出するのに時間がかかるようになります。
それは筋肉が衰えるためですが、うんちを出すのにあまりの長時間を要するなら、内臓に疾患が生じている可能性が濃厚ですので、注意を払いましょう。
眼球の状態をチェックしよう
猫は高齢になると、どうしても目やにが増加してきます。
そのときはティッシュで優しく拭き取り、目やにが固くなってしまっている場合はティッシュに水を湿らせて、柔らかく拭き取ってあげましょう。
また、猫の眼球に膜がかかるような様子があったら、水晶体が白く濁る白内障などの病気である可能性があります。
その他の病気の場合もありますので、眼球の状態で異常を感じることがあれば、動物病院へ早急に連れて行きましょう。
早めの対応が重篤化を防ぎます。
爪の状態にも気を配ろう
年を取ると、何かと億劫になったりするもの。それは人間と同様、猫も同じです。
今までは元気に爪とぎをやっていたのに、高齢になった猫はそれをあまりしなくなります。
そうなると、爪は伸び放題、可愛い肉球に食い込み出血といった事態が生じ、絨毯など床に敷いている布に引っかかりやすくなります。
猫用の爪切りはペットショップにて売られていますので、それを使い優しくいたわるように切ってあげましょう。
猫は足を触られるのが嫌ですので、日頃からスキンシップをして心を通わせ、いざというときに爪を切らせてもらえるようにしておきましょう。
毛並みの変化と肉球の硬質化
猫も人間と同じように、「白髪」が生えます。
毛づくろいを億劫がってあまりしなくなるため、毛並みはパサつき、つややかさが失われます。
そして肉球は硬くなって、弾力性が少なくなり、皮膚は潤いが減少します。
抜け毛やフケも目立つようになりますので、それらの外観で愛猫が年を取ったということがよく分かります。
また、オス猫はメス猫よりも身体の手入れをしないため、老けて見えるのが早くなります。
それらは新陳代謝やホルモンバランスが悪くなったことが原因で起こるものです。
人間と全く同じです。安らかに逝けるように、最期まで面倒を見てあげましょう。そうすれば愛猫は安心して、飼い主の元から旅立って行けるでしょう。
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